伐採され、積み上げられた丸太。 |
いつもの林道の広場には、伐採された丸太が、高く積み上げられていた。
様々な大きさの切り口が、勢ぞろいして並んでいる。
これは、ちょっとしたシュールな風景だ。
この光景を見て、リリーもいささか興奮気味。
いつもと違う風景の中を走り回っている犬は、いつもと違う犬のようだ。
切り口の年輪が目のように犬を見ている。
犬は所在無げに走り回る。
丸太の奥は、雪の降り積もった山だ。
山に棲む動物たちの匂いがリリーの鼻に届いているのだろうか。
リリーは、ときどき山の方を見上げる。
そして、また思い出したように匂いを嗅ぎまわる。
ついこの間まで、山の森の中にあったものが伐採されてここに積まれている。
ここを満たしているのは大量の丸太。
そのぶん、山の中は空疎になっているはず。
森の動物たちは空疎な空間を嗅ぎまわり、リリーは丸太でどっしりと占領された空間を嗅ぎまわる。
どちらも満たされない思いがあるのだろう。
満たされない思いを共有している犬と山の動物。
そして丸太の目の群れ。
「とってもシュールな体験をしたリリーだった。」ってそれホント?
丸太の側を走り回るリリー。 |
何やら匂いを嗅ぎまわっている。 |