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枕で快適お昼寝。 |
そうしたら、あぐらをかいている私の膝の上へ、リリーがコロッと頭をのせた。
あいかわらずの甘え上手。
だが私も、いつまでも動かずにいるわけにはいかない。
私の膝枕の代わりに、押し入れから寝具の枕を出した。
それをリリーの頭の下に差し込んだら、嫌がる風でもない。
そのまま体を動かさずに、枕に大きな頭を沈めた。
そういえば以前、似たような光景を見たことがある。
家の外の小屋につないでいたとき、リリーは玄関タイルの段差を枕にしたり、ブロックにあご枕をしたりしていたのだった。
また家の中では、仕事場の机の足を枕にして、くつろいでいたこともあった。
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腕をノビノビ伸ばして。 |
だが、ヒトの寝具の枕をすると骨伝導が伝わりにくい。
ブロックや玄関タイルや、金属の机の足なら、骨伝導を感知できる。
犬は寝るときに、アゴを地面や床につけて、アゴの骨に伝わってくる微妙な振動を感じ取っている。
骨に響いてくる「伝導」で、周囲の情報を得ているのだ。
伏せの体勢で寝ているから、緊急時にはすぐに起き上がることができる。
やや警戒心が薄れて、横になって寝ているときもある。
それでも頭蓋骨を通して「骨伝導」を感じることができる。
横になって、頭の下に柔らかいヒトの枕をしたらどうだろう。
犬の「骨伝導」の感度が鈍ってしまうに違いない。
振動に敏感な臆病な犬ほど、そういう状態は耐えられないはず。
リリーも飼い主同様、かなりの臆病な犬なのだ。
飼い主がそばにいたので、リリーも警戒心を解いて、安心して柔らかい枕でくつろいでいたのだろう。
それもつかの間。
私がちょっとその場から離れて、また戻ってくると、枕は空になっていた。
はて、リリーはどこへ。
犬としての警戒心を解いたことを反省したのか、リリーは階段の下で伏せ寝して、アゴを床につけていた。
やはりヒトの枕は、良さそうに思えても犬には適さない。
犬の本能が、それを許さない。
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口角があがっている。 |
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階段の下へ移動して、伏せ寝しているリリー。 |