昨夜はクリスマスイヴだったらしいから、リリーも慣例的にケーキを食べた。
その味が忘れられないのか、じっと中空を見つめて、何やらイメージしている。
しかし、美味しいものをイメージしているのであれば、この写真のかっこうのまま、口元だけがヨダレの大滝になっているはず。
今回は、ちょっと精神的。
瞳の光は敬虔な輝き。
「リリー」と声をかけても、身動きしない。
「夜明けは近い・・・・・」
ボソッとリリーがつぶやく。
て、リリーよ、もうお昼だぜ。
クリスマスともなれば、どこか宗教的な匂いでも感じとっているのだろうか。
まったく、感化されやすい犬だぜ。
「夜明けは近い・・・・・」
とリリーが繰り返す。
夜明けって、滅亡の夜があけるってことかい。
再興の朝、廃墟に射し込む朝日をイメージしているのか、ええっ、リリー・・・・・・?
「夜明けは近い・・・・・」
とリリーが繰り返す。
壊れた蓄音機みたいに、何度も繰り返す。
「夜明けは近い・・・・・」
なんでそんなに繰り返す、ん、クリカエス、え、クリスマス・・・・・・・
リリー、なんか勘違いしとらんか。

曰く「求道」とは、勘違いかも・・・・・・・
「正しい」とは、やせ我慢かも・・・・・・・
*おことわり:「求道」とクリスマスはなんの関係もございません。