残雪が好きな犬。 |
公園に着いたら、リリーは残雪の上に座り込んで動かなくなった。
疲れて、そうしている訳では無さそうだ。
鼻をヒクヒクさせて匂いの情報を収集したり。
何かをじっと待っている様子に見える。
この頃、残雪の上ではこういうスタイルだ。
消えていく冬が名残惜しいのだろうか。
犬が待っているのは、友達犬との出会いか。
それとも、新しい散歩のスタイルか。
何かを待っているリリーには、散歩人の私のことなど眼中に無い。
リリーは考える犬である。
鼻をヒクヒクさせ、あたりをキョロキョロしながら、新しいアイデアの閃きを待っているのだ。
今は「木の芽どき」。
植物は姿を変えて変化している。
犬だって、新しい自分に変わりたいのかも知れない。
春に合わせたオシャレがしたいのかも知れない。
リリーは、残雪の上に座り込んで、そういう時が来るのを待っているのだ。