2007/10/10

黄昏の犬

タイルに顎をのせて、骨伝導探索中。
建築用語で「犬走り」という言葉がある。

「 建物の外壁面を保護するために、その周りの地盤をコンクリートや砂利で固めた所」なのだそうだが、玄関口の三和土のタイル部分もそれにあたるのだろうか。

その「犬走り?」にリリーが顎をのせて、黄昏の物思いにふけっている。

犬にしては、ちょっとシラケた表情だ。

犬走りの上で、リリーの瞑想が走る。

だが、リリーの瞑想は、現実の行動となって具現しない。

リリーの行動はとても現実的だ。

自分の尻尾を咬みながらくるくる回るのも、現実的な何かの理由があると思う。

人に遊んでもらえなくなったときや、自分の思い通りにならなくなったときに、リリーはこれをやる。
やりながら、だんだんと独りの世界に入っていく。
独楽なのだ。

やがて、静かにしゃがみ込み、「やれやれ・・・・」という表情になる。
それでも、目をキョロキョロさせてまだ何かを期待している様子がちょっと続き、それから本格的に独りの世界に沈み込むのだ。

多分、そこからリリーの瞑想が始まる。
ピュアな僧侶のような目で、現実ではない何かを見つめている・・・ようだ。

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