The dependence of the dog
まだまだ幼犬
いつもは自分の好きな場所で独りで眠るのに、今夜はくっついて離れない。
ソファーもお気に入りの睡眠スペースだが、そこにヒトが座っていると上がってこない方が多いのに、今夜はどうしたことか。
リリーがソファーにいるとき、ヒトが腰掛けると、すぐに退くのが習慣なのだが。
今夜はソファーにヒトと一緒にいて、ヒトの体に顔を埋めるようにして眠りかけている。
日中偶然にも、人通りが少なくて、訪問者もいなかったのか。
静まり返った夏の昼が、音もなく過ぎていったのか。
リリーは、取り残されたように保然として、青い空と白い雲ばかり眺めていたのかもしれない。
頻繁にする居眠りの夢の中でも、現でも、青い空と白い雲ばかり。
まるで孤島の漂流者。
茫洋とした寂しさがリリーを襲う。
生まれて初めて感じる孤独感。
だから、ヒトが夜遅く帰宅したとき、プロペラのように尻尾を振ったのだ。
くっついて眠ると、ヒトの匂いが別の夢をリリーに見させる。