わたしって、横顔美人? |
リリーはカメラを向けると、横を向くことも多い。
「横顔を撮ってよ」と言わんばかり。
リリーの横顔は、なかなか良い。
すーっと伸びた鼻筋、知的なまなざし。
まるで、ちょんまげを下ろした落ち武者みたい。
しょんぼりしている時は、打首寸前の落ち武者を思わせる。
犬の横顔には、その犬の気持ちがよくあらわれているように思う。
犬が何かをジッと見ている様子が、いちばん解るのが横顔だからだ。
犬を正面から見ると、その「犬を正面から見る人」は犬の視界の邪魔になる。
邪魔をされた犬は、たちまちしらけた表情だ。
興味の対象をじっと眺める(時には凝視する)犬の横顔は、生き生きとしていて表情が豊かだ。
犬が横顔美人になる。
ヒトは、犬が何を見つめているのだろうと、犬の視線の先を眺める。
そこには、いつもの街のいつもの夕暮れ。
犬は夕日を眺めながら、何かを考えている。
いろんな考えが、犬の頭の中で沸騰している。
「脱人間社会」とか、そんな思いも沸騰しているかも知れない。
犬の横顔の静かなまなざしが、その熱を冷ましている。