2012/06/21

ヒトが嫌がる匂いを、犬は悪臭とは感じない

クサい靴に鼻を押し付けて眠る犬。
夏になって、リリーは玄関のタイルの上で眠ることが多くなった。

陶質のヒンヤリとした感覚が気持ち良いのだろう。

玄関に私のクサい靴が脱ぎ捨てられてあっても、リリーはその臭いに対して平気なようだ。

犬にとって大切な鼻を、クサい靴に押し付けて眠っている。

犬が匂いを嗅ぎ分ける能力は、ヒトの100万倍と言われている。

これをヒト感覚で考えれば、ヒトが感じる100万倍のクサさを犬が感じているのでは、ということになる。
そんな強烈なクサさに、リリーが平気でいられる訳が無いので、どうもそうではないようだ。

ヒトが嫌がる臭いでも、犬はそれを悪臭とは感じないのだろう。
犬の糞の匂いは、ヒトにとっては悪臭なのだが、犬は糞を体にこすりつけたりしているから、ヒトとは感覚が違うように思える。

たとえば、ヒトは色に関しては詳細に認知する感覚を持っている。
色合いや、色の彩度や明度を見分ける能力は、動物のなかでは優れている方だと思う。
嫌いな色合いもヒトそれぞれあることだろうが、一般的には「悪色」というほどの嫌悪感を持たない。

これは私の独断的なアイデアだが、犬の匂いに対する感覚は、ヒトの色に対する感覚に似ているのではないかと思う。
ヒトが色の違いを選り分けるように、犬は匂いの違いを選り分けているのだと思う。

ヒトの匂いに対する感覚は食欲と関連するものがあるような気がする。
犬の匂いに対する感覚は、「周囲の世界を知る能力」に密接な繋がりがあるようだ。
犬が匂いを嗅ぐのは、情報の取得のためなのだ。

ヒトの嫌がる匂いを犬が嫌っていたのでは、犬は周囲の世界に対して盲目になってしまうだろう。
犬にとって匂いとは、クサいとか嫌だとかで感じるものでは無い。
丁寧に嗅ぎ分けなければならない情報源なのだろう。
貴重な情報源に、悪臭も良臭も無い。

リリーが嫌がる匂いは、リリーが子どもの頃、しつけのために使ったビターアップルの匂いぐらいだろうか。
いやあれは、匂いを嗅いでというより、舐めた苦みで嫌がっていたのか・・・。

しかし、ヒトが嫌がる匂いを犬は悪臭と感じないからと言って、やたら犬におならを浴びせてはいけませんよ。