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机の「足」を枕にしている。 |
眠っているわけではない。
目覚めてもいない。
犬の瞑想状態。
よくそんな固い枕で瞑想できるね。
スチールの足じゃないか。
そんなことはおかまいなし。
リリーにとっては、枕が固かろうが柔らかかろうが問題ではない。
リリーの頭の方が、最高に固いのだ。
てなことよりも、瞑想の質が問題なのだ。
そのことにのみ、リリーの注意は向けられる。
リリーにとって瞑想とは、現実世界から離脱すること。
枕がスチールだろうが木製だろうが蕎麦殻だろうが、そういう現実世界はどうでもよいこと。
リリーの脳裏には、ヒトには到達できない瞑想空間が広がっているのだ。
半目を開けて、半目を閉じて、リリーの視覚が瞑想空間を行きつ戻りつ。
地方都市の暗い飲み屋街。
その片隅で月を見ている犬。
ガードの上を夜行列車が通り過ぎる。
犬は、半目を開けて半目を閉じて、机の「足」を枕にしている同胞の夢を見ている。
犬の瞑想とは、同胞の体験を共有することかもしれない。
りりーの顔を眺めていると、そんなイメージが思い浮かぶ。
いつまでも机の「足」を枕にしてくつろいでいるリリー。
やっぱり、ガード下の飲み屋街で月を見ている。
そんなシーンが好きなのは、私なのだが・・・・
なんとなくその体験を、リリーと共有したような気がした。