2007/09/16

散歩

うちの犬は大の散歩好き。
たいていのワンちゃんはそうなのでしょうが。

特に山がお好きなようです。
近くの丘陵地の公園を2時間ぐらいハイキングすると、家にもどってから機嫌が良い。
おとなしくて、従順なのです。

機嫌が悪いときはというと、「荒れまくり」状態。

部屋のなかのものを噛んで引っ張り回す。
人に噛みつく。
脱いである人の履物を、噛んで振り回しながら、乱歩する。
廊下におしっこをする。
自分の食器を、これ見よがしにひっくり返す。
部屋の中を跳ね回る。
だだっ子そのもの。
まだ4ヶ月だから、こんなものなのかしらね。

これが山へ入ると、別犬になる。
顔の表情が生き生きとしてきて、どことなく賢そうに見えてくる。
飼い主に対する信頼の度数も上がるみたいで、勝手な行動をとらない可愛いワンちゃんになる。
未知の場所では、既知の人に従うという処世訓を身につけているのか。

ところで、以前目撃したのだが、
軽トラにリードを結んで、犬を引っ張って「散歩」させているオヤジがいた。
あれは強制運動だね。
犬が喜んでいる風には見えなかった。
必死の形相。
足を止めれば死ぬかもしれない、というストレス。
信頼度数は、マイナス下降の一途。
いずれひどく噛まれると思います、あのオヤジ。

そういうオヤジは、噛まれた後、怒りまくる。
深夜の住宅街での、犬とオヤジの壮絶なケンカ。
オヤジは、訳の分からない説教文句を犬に浴びせかける。
不運な犬は、ただ吠えるばかり。

そんな喧噪も、遠くで聞いたことがある。

しかし、オヤジの犬の飼い方は、本当に変なのか?
軽トラはゆっくりだし、犬も引きずられてはいなかった。
その犬も、だんだんとその飼い主に似てくるかも知れない。
そのやり方が気に入るようになるかも知れない。
全ては、犬と飼い主との、他からの干渉を許さない関係に因るのでしょう、たぶん。

案外オヤジは、自分の「合理精神」を密かに誇っているのかもしれない。
自分ほど、短時間で適度な運動量を犬に与えている飼い主はいるまいと思っている。

「だらだら歩いて散歩させている奴は、馬鹿だぜ。ケッ!」

密かな誇りの裏には、密かな罵倒がある。