毛だらけなりリーは、夏の暑さが身にしみる。 |
この啖呵の「けっこう」とはコケコッコーの鶏のことだとか。
啖呵は、口調に勢いがなければいけないので、「けっこう毛だらけ」は、「けっこう」の「け」と「毛だらけ」の「け」で頭韻を踏んでいるのである。
「けっこう毛だらけ、猫灰だらけ」と続けて、「けっこう」の「こ」と「猫」の「こ」で脚韻を踏み、さらに「だらけ」で脚韻を踏んでいる。
これが、この啖呵の調子を整える要素であると思う。
イメージ的にも、鶏や猫を登場させて、暗に「けたたましさやすばしっこさ」を示している。
啖呵をまくしたてているその裏で、鶏や猫が走り回っている感じだ。
バタバタ走り回る鶏も、塀に飛び移る猫も威勢が良い。
啖呵の「けっこう毛だらけ」は威勢が良くて結構だが、リリーの毛だらけは、夏にだらけてしまって威勢が悪い。
南国にも犬はいるらしいが、リリーは北方系なので、特に毛だらけ。
南国の犬も暑いときはだらけるらしい。
リリーのだらけぶりは、南国の犬に負けない。
毛だらけだからね。
だが、この地方の暑い時期は、ほんの少し。
短い夏以外は、リリーの長毛は低温に威力を発揮するから、「結構な毛だらけ」なのである。
だらけている犬。 |