じっと見ている。 |
激しい咳と高熱。
マスクで顔を被って、高熱にフラフラしながら部屋を歩いていると、視線を感じた。
リリーがじっと見ている。
その顔つきが、いつもと違う。
それはそうだ。
リリーは、インフルエンザなんて知らないからね。
でも、こいつは相当弱っているなぐらいは感じているはず。
犬の直感で、そういう目で見ているのだろう。
ヒトは病気で苦しかったりすると、それを言葉に出して、ヒトに訴える。
犬は静かに病気に耐えるだけ。
犬は病気についての自覚がないから、自分の身に起きた変化に戸惑うだけ。
そして、ヒトに問いかけるように、ヒトの目をじっと見るかもしれない。
そういう犬の目は、見たくはない。