朝の日陰はひんやりしていいねぇ。 |
遅い朝の散歩でも、リリーは公園の木陰では平気そうだが、陽の射す舗装道路を移動中はちょっとハァハァしている。
陽のあたっている道路に手の平をくっつけてみると、ヒトの体温以上の熱がこもっているのがわかる。
これでは、リリーもしんどいはずである。
ここは広い面積が日陰になっているので、まだひんやりとしていて気持ちが良い。
リリーは、おすわりを決め込んで、なかなか動こうとしない。
そういえば、このビルの一階は、3年ぐらい空き店舗のままだ。
「景気が悪いのねぇ。」
とリリーがつぶやきそうだ。
「景気が悪いから、ここはこんなに涼しいのかしら」
なんてシャレにもならない。
犬は社会を見る動物だ。
犬の社会もヒトの社会も、じっくり見ているふしがある。
「ヒトの暮らしぶりも、犬の生活ぶりもよくわかるのよ。」
なんてね。
「この頃のドックフードの味、なんだか変よ。景気が悪いって嫌だわねぇ。犬の心は変わらないのに、ヒトの心は変わるのよねぇ。」