2012/06/29

暑いときは、ビルの日陰で休憩だ

朝の日陰はひんやりしていいねぇ。
私が、朝ちょっと寝坊すると、もう気温が上がって街に熱気が立ちこめ始める。

遅い朝の散歩でも、リリーは公園の木陰では平気そうだが、陽の射す舗装道路を移動中はちょっとハァハァしている。

陽のあたっている道路に手の平をくっつけてみると、ヒトの体温以上の熱がこもっているのがわかる。

これでは、リリーもしんどいはずである。

散歩の途中のビルの日陰で一休み。
ここは広い面積が日陰になっているので、まだひんやりとしていて気持ちが良い。
リリーは、おすわりを決め込んで、なかなか動こうとしない。

そういえば、このビルの一階は、3年ぐらい空き店舗のままだ。
「景気が悪いのねぇ。」
とリリーがつぶやきそうだ。
「景気が悪いから、ここはこんなに涼しいのかしら」
なんてシャレにもならない。

犬は社会を見る動物だ。
犬の社会もヒトの社会も、じっくり見ているふしがある。
「ヒトの暮らしぶりも、犬の生活ぶりもよくわかるのよ。」
なんてね。

「この頃のドックフードの味、なんだか変よ。景気が悪いって嫌だわねぇ。犬の心は変わらないのに、ヒトの心は変わるのよねぇ。」
なんてね。

ひとくさり、そんなことを思っていたかも知れないが、犬の思念は空中に飛散してヒトの言葉としては残らない。
ときどき、犬が走り出して空中に手をかざすのは、蝶々を追いかけているだけではない。
飛び去った自身のアイデアを捕まえようとしているのだ。
それを確保したところで、ヒトには伝わらないのだが・・・。

と、涼みながら思いを巡らして、ため息をつく。
暑いときは、ビルの日陰で休憩するのが一番だ。

やがて、重い腰を上げ、「次の公園に行ってみるか。」と、老犬のようにとぼとぼ歩き出す。
振り返ると、取り残されたビルの日陰で、リリーの思念が休憩している。

そろそろ、散歩再開にしよっと。