靴に頭を押し付けて眠っている。飼い主の匂いに安全を感じているのか。 |
善悪観は、ヒト特有のアイデア。
ヒトの考え方の基準を、犬に押し付けても、犬は理解していないようです。
犬は「安全と危険」に対する判断力を持っています。
そういう時、ヒトは、犬は物事の善し悪しが解る賢い動物なのだねと思い込むのでしょう。
ヒトの善悪は、ヒトが社会生活を営むための「ルール」のようなものだと思います。
犬にも犬の社会があって、その社会を維持するための「ルール」があるはずです。
犬の社会のルールの解明が、ヒトによる犬のしつけ方法の基礎知識になっているのでしょう。
犬の「しつけ法」も、まだ発展途上。
リリーは、家の中が一番安全だと思っています。
家の中では、ヒトの指示によく従います。
それがより安全だと、犬が判断しているからです。
リリーは家の中のどこででも、手足をのばしてリラックスした状態で眠っています。
夏が近くなって、家の中の気温が高くなると、ひんやりしたタイルの上で寝るのを好みます。
夜中、ヒトが眠っているときに、リリーは部屋の中をうるさく歩き回ったり、駆け回ったりしません。
リリーが善悪を心得ているからでは無く、そうする必要がないからです。
夜中に静かに眠るのは、リリー自身の安全のためです。
犬の睡眠は、ヒト同様、健康管理という安全対策上、必要な行為です。
そういう行為を、ヒトは犬が善悪を承知している結果だと思い込むのでしょう。
たまに、夜中にうるさく吠えることがあります。
それは、家の外に危険を感じて吠えているのです。
家の近辺への犬や猫の出現、通常ではない動作をするヒトの出現に警戒して吠えているのです。
それは、ヒトにとっては無駄吠えですが、犬にとっては無駄な行為ではありません。
自身の安全のために必要な行為です。
より的確な安全に対する判断力が、犬自身に働くようになれば、いわゆる「無駄吠え」の回数は減るのでしょう。
その能力を、どう育てるのか。
犬の体験や経験を通して、犬自身が学習するしか無いでしょう。
犬に善悪の抽象的な概念ばかり押し付けていては、犬が体験を通して学習し能力を高めるという貴重な時間を失ってしまいます。