西日の射し込む部屋で。 |
小さな腰掛けに顎をのせ、きちんと揃えた両手は、行儀よく腰掛けの下に置いてある。
公園からは、子ども達の楽しそうな笑い声が聞こえる。
公園の緑の芝生の上で遊びに夢中な子ども達。
リリーは、その様子を静かに眺めている。
シャッターを押すタイミングと、犬の瞬きのタイミングが合ってしまう。
犬はあんまり瞬きしないのに、リリーの写真は目を閉じた瞬間のものが多い。
子ども達の楽しそうな笑い声が、西日が射し込む鎖された小屋の中では、寂しく響くように感じる。
クサリに繋がれたリリーは、そんな感傷に浸っているような愁顔だ。
この部屋は動かない玩具同様虚しい、とでも思っているような横顔。
生き物ではない玩具なんか、友達ではない。
公園で遊ぶ可愛い子ども達と友達になりたい。
一緒に遊びたい。
犬の生きがいは遊ぶことだから、クサリに繋がれて、自由に遊べない犬なんて犬じゃない。
動かない玩具のクマちゃんと同じ身の上ね。